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ADK FinTechカテゴリーチームでは、毎年6月に金融総合調査を行っております。今年6月に行った最新調査結果を昨年の結果と比較することで、コロナ前後での「お金」にまつわる事象や意識の変化が色々と見えてきました。
ここではその中から「カードローン」に関する変化について、ご紹介したいと思います。
下図はカードローンユーザーの性年代構成比の変化です。
昨年までは20~30代男性がカードローンユーザーの過半数を占めていましたが、その割合は今年大きく減少しています。今年は男性50代の割合が増え、全体がフラット化し、ユーザー層が男性全体に広がってきていることが分かります。
次に、カードローンユーザーの金融商品保有状況を昨年と比較してみます。
今年のユーザーは、定期預金や生命保険など、どちらかといえば「堅実」な金融商品の保有率が上がっていることが分かります。
ここで「お金」に関する意識の変化を見てみます。
右に行くほど、今年減ったユーザー意識、左に行くほど、今年増えたユーザー意識となります。「お金は今を楽しむために使うべき」という、刹那的な価値観は減少し、「お金のことで誰かを頼りたくない」「将来に備えて貯金をしたい」「資産運用について真面目に考えたい」など、ここでも「堅実」で「真面目」な「お金」意識が増加していることが分かります。
今回の調査では、新たにコロナによる「お金」への影響についての質問を追加しており、そこでも今年のユーザーの特徴を見ることができます。下図は「コロナで増えるお金・減るお金」について、全体と今年のカードローンユーザーを比較したものです。
左の青棒が「増えるもの」、右の赤棒が「減るもの」です。全体と比べても、今年のカードローンユーザーは「出費」が増えて「収入」が減る、人が多いことが分かります。具体的には「食費」「光熱費」といった生活資金が増加、逆に「交際費・外食費」「趣味・娯楽費・旅行・レジャー」などの遊興費は減少する、と回答しています。
また、今回もう一つ面白い動きがありました。今回のコロナでもともとあった「キャッシュレス社会」への変化はより急速になりましたが、そうした中であるサービスが一気に浸透率を伸ばしました。「LINEポケットマネー」や「J.Score」といった、キャッシュレス カードローンです。キャッシュレスはカードローンの世界も変えようとしています。
「若い男性が刹那的目的のためにお金を借りる手段」から「多くの現役世代・一般世帯の日常的な生活資金を一番近くでバックアップする手段」へ。コロナ禍で、カードローンは、その役割を大きく変えつつあります。そしてこうした、より日常的な資金ニーズに対応するサービスへと変化していくのに伴い、今後はカードローンでも「キャッシュレス」が急速に進行すると考えます。
今は、カードローンが新たなステージへと進化する絶好の好機でもあると考えます。“お金にだらしない人が使う、ちょっと怪しいサービス”から、“人々の生活を支援する、新たな生活インフラ”へ。より多くの人にもっと気軽に利用されるサービスへ。この環境変化は、今後の各社コミュニケーションにも大きな影響を与えるはずです。
(株)ADKクリエイティブ・ワン プランニング本部 第1ストラテジック・プランニング局長 FinTechカテゴリーチームリーダー
武藤 一 旧旭通信社入社(1998)、現ADK(1999-合併後)在籍 入社以来、一貫して、企画開発・プランニング業務に携り、戦略立案全般、新商品コンセプト開発、キャンペーンデザインなど、コミュニケ-ション戦略立案を担当。 現在、Fintechカテゴリーチームリーダー。