コラム

TOKYO MIDTOWN AWARD受賞に見る、若手クリエイターたちの挑戦

越境するクリエイティブ力が、広告の未来を切り拓く

「デザイン」と「アート」を軸に次世代の才能を発掘・応援する「TOKYO MIDTOWN AWARD」。18回目となる今回は、総計1,429件の応募(デザインコンペ部門1,126件/アートコンペ部門303件)が寄せられ、著名なクリエイターやキュレーターによる厳正な審査が行われました。その中で、ADKマーケティング・ソリューションズ(以下、ADK MS)の若手プランナー児玉 悠・黒川大成・川西萌登の3名が手がけた神々しい朝礼台がデザインコンペ部門のファイナリストに選出。特筆すべきは、彼らの取り組みが従来の広告や表現の枠を超え、社会や人の行動にまで働きかける、新たなクリエイティブの可能性を体現している点です。

デザインコンペ受賞結果: https://www.tokyomidtown.com/jp/award/result/2025/design.html
アートコンペ受賞結果:https://www.tokyo-midtown.com/jp/award/result/2025/art.html

今回はその3人に、作品づくりの背景や普段の仕事との接点、今後への展望を伺いました。

Q:この度は「TOKYO MIDTOWN AWARD 2025」デザインコンペ部門でのファイナリスト受賞、誠におめでとうございます!まずは、今回の受賞について率直なお気持ちをお聞かせください。

児玉:素直にありがたい気持ちです。多くの方に作品を見ていただける機会をいただけて、とても光栄に思っています。

黒川:本当に嬉しいです!企画・制作期間、苦しい期間はありつつもずっと楽しかったので、このチームで受賞できてとても良かったです。

川西:受賞の傾向からすると、今回の僕たちの作品は少し異物感のある存在だったと思います。そんな作品を受け入れてくれたアワードの懐の深さに驚きましたし、改めて「いいアワードだな」と感じました。

Q:ぜひ今回の受賞作品「神々しい朝礼台」について詳しく教えてください。また、この作品を通して伝えたかったことや、込めた想いがあればお聞かせください。

川西:
TikTokYouTubeなど、手元のスマホから無限のコンテンツにアクセスできるこの時代。そんな中で、世の校長先生たちはどうすれば、ちゃんと話を聞いてもらえるのか?──そんなことを考えたんです。壇上で踊りだすわけにもいかないし、YouTuberのようなふるまいもできない。「だったら、もういっそ浮くしかないんじゃないか!?」という発想が生まれて(笑)。でもこの思いつきが、ポスト・トゥルース時代1の権威性概念とどこかでつながっている感覚もありました。

黒川:いろいろと議論を重ねたのですが、正直「これが世の中にあったらおもしろいな」ということに尽きるかもしれません。いろんな人に見せると「なにこれw」という反応が一番多くて、それが嬉しかったです。

*1世論の形成において、客観的事実よりも感情的・個人的な意見のほうがより強い影響力をもつこと。受け入れがたい真実よりも個人の信念に合う虚偽が選択される状況をいう。

Q:10月20日にTOKYO MIDTOWNで授賞式が行われましたが、いかがでしたか?当日の様子についてもぜひ教えてください。

児玉:他の受賞者の皆さんがどんな作品を作られたのか、ここで初めてしっかり聞くことができて嬉しかったです。特に印象的だったのは、審査員の方々からのコメントでした。他の受賞者の方へのコメントも含めて、すべてが非常に貴重で、今回の作品だけでなく、今後の企画・制作においても考えさせられる内容でした。

黒川:授賞式後のレセプションでは、他の受賞者の方々や審査員の方と直接交流することができて、非常に有意義な時間でした。審査会や展示の場では他の作品も拝見していたのですが、同じテーマに対しての向き合い方が人それぞれ全く異なっていて、それが実際に話してみるとより鮮明に伝わってきて、すごく勉強になりました。

川西:その方の人柄や、ちょっとした仕草・言葉遣いが、作品に自然とにじみ出ているのを感じて、とても興味深かったです。また、レセプションの場では、審査員の方から鋭いご指摘もいただき、第一線で活躍されている方々との作り手としての距離をリアルに感じる場面もありました。ものづくりの厳しさと奥深さを改めて実感する、刺激的な機会になりました。

Q普段は広告の仕事をされている皆さんが、今回の作品を企画されたきっかけや背景を教えてください。

川西:これはあくまで私の考えですが、最近、広告にはこれまで以上に面白さが求められていると感じています。もちろん以前から広告に面白さは必要とされていましたが、それはあくまで「広告として面白いか」という枠の中での話だったと思うんです。でも今は、広告も他のエンタメコンテンツと横並びで評価されるようになってきています。そんな時代だからこそ、一度広告という枠を飛び越えて、純粋に面白い作品を作ってみたいと思いました。

児玉:私個人としては、今回のアワードと普段の仕事との間に、それほど大きな違いがあるとは感じていません。どちらも「体験」をどう設計し、どう形にするかという点では、本質的な部分は変わらないと思っています。そもそも、広告って「どこまでが広告か」という線引きが難しいものですし、今の時代はなおさらだと感じます。ただ、共通して大切にしたいのは、人が豊かになれるものをつくるということ。広告であってもそうでなくても、そうあるべきですし、そうであってほしいなと思っています。

Q皆さんプランナーとしてご活躍されていますが、この作品づくりにあたってはチーム内でどのように役割を分担されていたのでしょうか?

黒川:役割分担としては、川西くんが無邪気なコアアイデアを出し、僕が広げ、児玉さんが形にするというざっくりとした流れがありました。ただ、基本的には明確に分担などを決めず、三人で必要に応じてフレキシブルに企画・制作を行いました。

Q:皆さんの普段のお仕事についても教えてください。今回の作品と日常業務との関連性や、今後の仕事への影響についてもお聞かせください。

児玉:私たちは皆プランナーという肩書きですが、それぞれ少しずつ担当領域の色合いが異なると思います。私は、テクノロジーを組み合わせた体験設計や、最近では国内外の展示企画・制作など、リアルな場でのプランニングに携わることが多いです。
“考えることつくることは表裏一体だと感じているので、今回の制作も普段の仕事と地続きの部分があると思っています。ただ、授賞式で審査員の倉本さんが私たちの作品を「シニカルだった」と評してくださったのですが、そのアイロニカルではないシニカルさのような表現は、普段の業務ではなかなかできないことだと実感しました。

黒川:僕は普段、映像の企画を中心に担当しています。そのため今回の作品でも、「この朝礼台に校長先生が立つとき、どんな表情をしているだろう」「その姿を見つめる生徒たちはどう感じるのか」「隣に立つ先生たちは何を思うのか」といったように、この作品が現実世界に置かれた時の人々の反応に思いを巡らせることが多かったです。中には、「使われないときはゴルフのスウィングチェックに使われたりして」なんて想像も。映像の世界でも、こういった現実の中に違和感を置くような表現がすごく好きなので、今後の仕事でもこうした視点を活かしていけたらいいなと思っています。

Q: 今回の経験を通して感じたことや、気づき、今後の目標・チャレンジしてみたいことがあれば教えてください。

児玉: THE NEXT EXPERIENCE」というテーマがあったからこそ、普段ならあまり話さないようなことを、3人でたくさん語り合うことができました。仕事でも仕事以外でも、これからも誰かと一緒に何かをつくる中で、さまざまなものの見方や考え方を少しずつ広げていけたらと思っています。

黒川:普段は制作を協力会社にお願いすることが多いのですが、今回は企画から模型・プロトタイプ制作まで、すべて自分たちの手で行いました。手を動かすことで「考える→つくる→また考える」という循環が生まれ、新しいものが形になっていく。そのプロセスを実感できたのは本当に貴重な経験でした。これからもこのチームで、公募はもちろん、競合プレゼンや自主提案・自主制作など、いろいろチャレンジしていきたいです!

川西:NEXT」というテーマに向き合うことは、同時に「NOW」と向き合うことでもあったと強く感じています。この経験を通じて、僕たちのへの解像度が高まったからこそ、これからの社会に届けられるアウトプットがあると信じているので、ぜひ、色々なお仕事を任せてください!ちなみに、ADKのオフィスには今回の実物の朝礼台が展示されているので、興味のある方はぜひ乗りに来てください!

所属部門長コメント

辻毅 【ADK MS執行役員 エクスペリエンス・クリエイティブ本部 本部長】
1,126件の応募の中からファイナリスト15点作品に選出されるって、すごいことですよね!!
心よりお祝いの言葉を贈りたいと思います。
最初にこれを見たときは、度肝を抜かれました。こういう企画って、ビジュアルとか映像にしちゃうと、意外と普通になってしまうんですが、実際の朝礼代の造形物として目の前に現れると圧倒されてしまう。
この違いって、何だろう?と考えるわけなんですが、これがリアル体験ならではの価値なんですよね。
と評論家のようなことを書いてみたのですが、この作品のすごさって、校長先生が宙に浮いて挨拶していたら面白くね?と小学生ノリのいたずら感覚に誰もが共感できるところなのではないかと思いました。
一見ばかばかしいアイデアなのですが、その裏にものすごく深い社会メッセージが潜んでいるのでは?と深読みしようと眺めているとやっぱり、あまりのバカバカしさについ笑ってしまう。
笑える企画って、最強ですよね。この三人は、天才なのではないか!と本気で思ってしまいました。
百聞は一見に如かず。まずはとにかく実物を見ていただきたいと思います。
これからもどんどん広告の領域を超えて新しいことにチャレンジして、クリエイティビティを発揮していってほしいと思います。

三橋良平 【ADK MS執行役員 エクスペリエンス・デザイン本部 本部長】
全人類必見。広告の未来を根底から揺さぶる実存的傑作である。
ミラー加工の「神々しい朝礼台」は、常識を解体し、虚構と現実の境界を曖昧にする。そこに立つ三人の作者は、誰も思いつかない思考のプロセスから、ゼロをイチへと変換する未来の広告人そのものだ。彼らは権威に寄りかからず、純粋で非合理なまでの信念をデザインへと昇華させる。AIが真偽を溶かす時代にあって、人々の心を動かし、社会との対話をグロースさせるのは、このように「創ること」そのものを信じ抜く意志だ。混沌を切り裂く鏡像の光こそ、広告が再びを照らす希望となる。

児玉 悠
ADKマーケティング・ソリューションズ 
EXデザイン本部BXデザイン局インキュベーションデザイングループ プランナー

1997年生まれ。慶應義塾大学SFC卒業後、ADKクリエイティブ・ワンに新卒入社。コミュニケーションプランナーとして初期配属以来、領域や手法を問わず、手触り感のある新しい体験創出を目指している。近年は、国内外での展示の企画制作や、ワークショップのデザイン/ファシリテーションなど、人がリアルに触れ合う場を設計する仕事が多い。 元LITALICOワンダーメンター。

黒川大成
ADKマーケティング・ソリューションズ 
EXクリエイティブ本部EXクリエイティブ局プランナー

1998年、神奈川県生まれ。中央大学卒業後、ADKに新卒入社。料理と食事が好き。入社以来、映像を中心とした広告コミュニケーションに携わる。心も商品も動く表現を目指している。

川西萌登
ADKマーケティング・ソリューションズ 
EXクリエイティブ本部NextGen局小塚ルーム/
EXデザイン本部BXデザイン局インキュベーションデザイングループ プランナー

2000年、愛知県生まれ。うどんとエル・ファニングが好き。
早稲田大学政治経済学部卒業後、ADKに入社。 ワークショップデザインの知見を軸に、事業戦略の策定からエグゼキューションまでを一気通貫で伴走する価値共創プロジェクトを推進。おバカなアイデアから手堅いアイデアまで、領域を問わず価値創造の起点となることを目指しています。2024年ヤングスパイクス日本代表。

 

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