コラム
「D2Cビジネスグロースチャレンジ」マーケティング支援企業の取組み-東日本ネットワーク支社-
前編) 三和油脂株式会社 インタビュー
「地域グロース支援プロジェクト」in山形
2026.07.27
ADKマーケティング・ソリューションズ(以下「ADK MS」)東日本ネットワーク支社では、東北地域のEC/通販事業拡大を目指す企業を対象に、マーケティングスキル向上を支援する「D2Cビジネスグロースチャレンジ」※1を2023年より実施しています。2025年5月からは山形県でも展開し、地域企業へのマーケティング支援を行っています。
今回はその第4弾として、山形県天童市に本社を構え、高品質な「こめ油」を製造販売する三和油脂株式会社をご紹介します 。消費者の健康トレンドを捉える同社が、さらなる事業成長に向けてD2Cという新領域に挑む背景とは 。取締役副社長の山口高明様(以下「山口副社長」) 、および実務を推進された宮下様(以下「宮下氏」)に、プロジェクトを通じて得た「リアルな壁と学び」、そして今後の展望を伺いました。
※1 東日本地域には事業規模の制約から多様なスキルを持つ人材の確保が難しく、特にマーケティングスキルの不足がビジネス成長の妨げとなっているのが現状、「掛け合わせ」と「共創」をキーワードに地域グロースビジネス支援プロジェクトを立ち上げ、その一環として地域企業と連携した共創型プロジェクト「D2Cビジネスグロースチャレンジ」を宮城県、福島県、山形県で実施しています。

「D2Cビジネスグロースチャレンジ」にエントリーしたきっかけ
以前から「D2Cを本格展開したい」という想いはありました。しかし、専門ノウハウの不足、人員体制が不十分なことから、取組の一歩を踏み切れずにいました 。昨今の健康トレンドを背景にこめ油市場は拡大しているものの、競合も急増しています 。そのため、従来のB2Bや流通だけに依存せず、消費者とダイレクトに繋がるD2Cへの挑戦は不可欠でした 。

伴走支援でクリアになった課題と、テストマーケティングから得た「実践の財産」
—実際に支援を受けての印象や、現場での変化を教えてください。
山口副社長: ADK MSの豊富なノウハウを体系的な知識として直接吸収できたことは、非常に大きな収穫でした 。基本戦略の設計から具体的なテストマーケティングに至るまで、常に伴走型で手厚くご指導いただけたことは本当に心強かったです 。
今回のプロジェクトを通じて多くの知見を得た一方で、既存商品をそのままD2C向けに流用・展開することの難しさにも直面し、獲得成果の面では厳しい現実という課題が残る結果となりました 。しかし、この経験から得た教訓は非常に大きく 、特にD2C特有の商品設計やそれに伴うコスト構造・LTVの考え方について、私自身の意識が根本から大きく変化しました 。

山口 高明氏
三和油脂株式会社 取締役副社長
宮下氏: 実務を担う立場として最も大きな変革は、一発逆転を狙うのではなく、小さくテストを始めて仮説検証を繰り返す「リーンスタート」の重要性に気づけたことです 。前半の戦略策定で自社のコア価値を再定義できた一方 、それを実際のWEBサイトや商品といった「顧客体験」へ変換し、CPOなどの数値目標に落とし込んで実行するプロセスは非常に難易度が高く、戦略と実行の間の大きなギャップを痛感しました 。
―高速でPDCAを回す中で、地方企業ならではの「リアルな壁」も見えてきたそうですね。
宮下氏: はい、社内の「専任人員の不足」というリアルな壁に直面しました 。高度なマーケティング施策を自社だけで完結させるのは難しく、かといってアウトソースを活用すると運用コストが膨らみCPOが悪化してしまうというジレンマがあります 。この体制構築の難しさを身をもって実感できたことは、今後の大きな糧になっています 。

宮下純平氏(右)
三和油脂株式会社営業本部
営業一部係長
D2C事業で得られたデータをB2Bへもフィードバックすることで、将来的に、全社売上100億円企業の実現を目指す
——今後の具体的な目標や、実務に活かしていくビジョンについて教えてください。
山口副社長: 今回の検証結果や顧客の声を反映し、現在はD2Cビジネスに最適化した「新たな商品企画と価格設定」の抜本的な見直しを進めています 。本支援を通じて、D2C事業の本質は単にモノを売るだけでなく、顧客体験を通じてファン化を促す「ユーザー視点の文化」を育む、いわば『高速でPDCAを回すための実験と実践の場』であると実感しました 。
今後は、購入ハードルを下げるセット商品の工夫や、同梱物の強化によるCRM施策など、ファンを確実に育成するための具体的なアクションを実践していきます 。
今後のロードマップとして、「5年後にD2C単体で年間売上1.5億円」という具体的な数値目標を掲げました 。ウェブ領域での40〜60代ターゲット層へのアプローチから始め 、目標KPIの達成に合わせてオフライン施策も視野に入れながら 、専任部署の立ち上げや社内への『トライ&エラー文化』の定着を目指します 。
そして将来的には、D2C事業で得られたダイレクトな顧客データを既存の卸事業(B2B)へもフィードバックすることで、全社的な商品力の向上とブランド価値の牽引を図り、全社売上100億円企業の実現を目指してブランドを大きく育てていきたいと考えています 。
― 最後に、これからECやD2Cに取り組み始めている地域企業の方々へ一言メッセージをお願いします。
山口副社長: 今回のプログラムを通じて痛感したのは、自社だけで立ち上げようとすると専門知見の不足から投資が空回りしてしまうリスクもあるということです 。外部の専門家の知見を適切に借りながら、まずは小さなテストマーケティングで仮説と検証を繰り返し、自社ならではの勝ちパターンを見つけることが成功への近道だと思います 。 D2Cは単なる新しい販売チャネルではなく、お客様との「絆作り」の場です 。実際に販売を開始した後は、顧客との直接的なコミュニケーションから、私たちが思いもよらなかったような新たな発見や気づきがたくさん得られて本当に面白いです 。
「作る企業」から「選ばれるブランド」へ 。早く挑戦し、早く経験を得ることこそが最大の財産になります 。地域の力を信じて、ぜひ皆さんも一歩を踏み出してみてください 。
ADK MSは、今後もマーケティング領域のノウハウやD2Cビジネスの豊富な経験をもとに地域企業のD2Cビジネス拡大に向け支援してまいります。
【取材協力】
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三和油脂株式会社
本社:山形県天童市一日町四丁目1番2号
事業内容:米ぬかを原料とした高品質な「こめ油」・バイプロダクトの製造販売
【本件に関する問合せ先】
株式会社 ADKマーケティング・ソリューションズ
東日本ネットワーク支社 伊藤(謙)/恒松
株式会社 ADKホールディングス
経営企画本部 PR・マーケティンググループ 根岸 e-mail:mspr@adk.jp
