コラム

「会社と離れても、社会と繋がれる。」

ちいさいきみと –ちいきみ– 【第5話】

子どもが生まれた、コピーライター10年目。ちいさいきみと見ている景色を言葉と絵にして。
育児同志に、「ホッ」を。仕事仲間に、「へぇ!」を。あなたの励みになれたら嬉しい、
フリーペーパー『ちい告』のスピンオフ企画です。



出産して、育休が始まって。オムツを変える。ミルクをあげる。寝かせる。泣く。抱っこするーー。頭は暇なのに、心は忙しい。ただ同じことを繰り返しているだけなのに、猛烈に疲れる。まだ泣くことしかできないわが子を前に、大人との会話が無性に恋しい。会社の皆は何をしているのだろう?この間にも、同世代はぐんぐん活躍しているのだろうか。ふと、社会から取り残された感覚に陥る。なんだか私、孤独だな。悶々と、夫が帰ってくるのを待ち侘びる日々が続いた。

そんな自分を救ってくれたのが、買い物だった。何を隠そう、私は浪費家。お酒も飲まない、タバコも吸わない。その代わり(?)可愛いものを探し出し、購入する。昔から、それがストレス解消法だった。出産してから初めて出会う子ども服や玩具は、想像以上にオシャレなものが多い。ゴリゴリの日本人ベイビーのわが子だけれど、ヨーロッパの赤ちゃんのように海外服を纏っている姿にとても癒される。インテリアになるような積み木やぬいぐるみがあると、嬉しくなる。本人が意思表示できないのをいいことに、私の趣味全振りの衣装を纏わせ、玩具を提供すると、育児のテンションも上がるものだ。

以来、「子どものためですよ」という顔をして、今までは入ることのなかったデパートのベビーフロアや海外子ども服を取り扱う路面店へ、主に自分のために足を運ぶようになった。「育児によって、私の世界は狭まっている」と悲観していたけれど。むしろ、広がっているじゃないか。買い物だけじゃない。出産前は気にも留めなかった企業姿勢に気づいたり。(例えば、スターバックスのメニュー裏にはキッズミルクが!)知らなかった気遣いに出会ったり。(ユニクロのベビー服は、痒くないようにタグが表面に縫い付けられている。)

親としての社会進出。なんて、勝手に銘打って。今の自分なりに視野を広げ、視点を増やす。それはコピーライターにとって、何より大切なことでもある。どんな経験も糧にできることが、この仕事のいいところだから。会社と離れる期間があっても、少し違う形で社会と繋がれること。それを、自分の強みに変えて。育児をしながらのコピーライター人生。楽しみながら歩んでいきたい。


『ちい告』とは。
広告されない、ちいさなモノゴトマガジン『ちい告』。時が経てば忘れてしまう「クスッ。」や「キュン!」を手のひらサイズにギュギュッとつめこんだフリーペーパーです。(ADKグループから不定期発行。次号も準備中です!)

【共同編集長】片岡良子(CHERRY)・川瀬真由(ADKマーケティング・ソリューションズ)
【デザイン】大橋謙譲 (CHERRY)
      イラスト:大塚 文香

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