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PRにアフターコロナもWithコロナもない

ニューノーマル

 2019年の今頃は、まさか2020年がこのような激動の年になるとは日本人の誰もが予想だにしなかったでしょう。3月にはどのメディアもコロナの話題で持ち切り、この時、2011年の東日本大震災の記憶が蘇りました。その際、一番初めに頭をよぎったのがACCMの乱立です。楽しい事、前向きな発言、経済活動、好奇心―すべてが暗に禁止され、その暗黙の禁忌を犯した人や団体には誹謗中傷、批判という無自覚な制裁が与えられました。

 2020年のコロナ禍ではこのような極端なメディアの変化はないと思われましたが、やはり風評被害が多発。

【参考】
「帰省と新型コロナウイルスにまつわる誹謗中傷被害」に関する意識調査/ゼネラルリサーチ株式会社
「偏見・差別の実態と取組等に関する調査結果」/内閣官房 新型コロナウイルス感染症対策分科会 偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ(第3回)資料/令和2年10月16日

 多種多様なメディアが軒を連ね、且つ多くの広告も目にする現代人は、情報の取捨選択とその真意を確かめるインプットに手が回らず、メディアの情報をそのまま受け入れて自らの良いように解釈してしまっている可能性があるのではないか?とテレワーク中に悶々と考えていました。これはPR業という職業柄ではありません。
 私が生業としている「PR」は、直訳するとパブリックリレーション。人、法人、社会情勢、メディア等この社会を構成している要素全てを考慮して、いつ、誰に、どこで、どのように、何を伝えるか、どうしたら共感してもらえるか-、それらについて日々考えることを楽しめる人に向いている職業です。
 ですが、このパブリックリレーションは仕事だけではなく、社会で生活するうえで必要なスキルであり、コミュニケーションの核とも言えます。パブリック(公)ですから。PRパーソンでなくても、受け取った情報をかみ砕き、そのパブリック背景を思考し、自らの行動を考えるべき時代だと思います。

 さて、コロナに関する情報が落ち着き始めた2020年後半、「アフターコロナのPRって、どうしたら良いですか?」「アフターコロナとWithコロナ、どちらに合わせてPRしたら良いですか?」「このご時世にそもそも自社の製品をPRして良いのでしょうか?」
 このようなお問い合わせがたくさんありました。もちろん、どんなことをするにも感染予防対策は必要です。ですが、アフターコロナ用のPRパッケージもなければ、Withコロナ用のPRパッケージもありません。PRに決まったカタチはないからです。
 情報の発信者が人、法人、社会情勢、メディア、環境などを考慮して、自らが成し遂げたい目的を達成させるためのPR手法を根本から考える必要があります。そして、そこには必ず「価値ある事実」が必要になります。

FACT CREATIVE CAMP講義資料より)

 私がFACTという、「価値ある事実発想」を掲げるクリエイティブ・ブティックにジョインした理由もここにあります。サービスや商品の認知を獲得するために多くのPR案件を手掛けてきましたが、そもそもローンチタイミングだけの短期的なPRで良いのか、マス向けのPRだけで良いのか、まずこのサービスは本当に社会の役に立つのか、など多くの疑問を抱えながら与えられた課題解決のために尽力してきましたが、本当に成し遂げたい目的の一助を担えたのか不安になる時もあります。なぜなら、PRは最後のアウトプットの手法と思われ、全てが決まった状態でパスされることが多く、相談をもらったタイミングで手が付けられない課題満載の状態のことも多いからです。
 本来、PR=パブリックリレーションにはそもそもの目的や、社会的に価値のある何かが必要になります。そのため、まずは「価値ある事実」を見出し、情報発信者の目的、ブランディングを確立させるためのアウトプットを模索します。それにはマーケティング、広告、クリエイティブ、PR等の専門的知見がすべて組み合わさってやっと進むべき道ができます。

  古今東西、どのような状況でも「価値ある事実」を元に思考を繰り返す事は必須。2020年がコロナ禍に見舞われた年であってもなくても、真のPRパーソンの頭の中は変わらなかったのではないかと思います。 

株式会社 FACT  PR Director/Communication Planner

株式会社 FACT  PR Director/Communication Planner

堀田 有利佳  
家業である埼玉県岩槻市の伝統工芸普及のため、PR・コミュニケーション業界に飛び込み、2013年株式会社Material に入社。100社以上の企業のPRに携わり、カンヌライオンズやアドフェストでも複数のアワードを受賞。「日本の文化継承」をすべく、とにかく寝ずに走りまくった下積み時代を経て、ワンストップ課題解決型PRを実現させるため2018年6月に独立。コミュニケーションプランナーとして活動後、FACTへ参画。伝統工芸普及活動も進行中。何事にも動じないのが特技。

■FACTについて
「価値ある事実に光をあてて、人を動かす事象をつくる」をコンセプトに、「オリエン受注型から課題発見提案型へ」。まだ世の中に知られていない「価値ある事実」をクライアントと共に発見・ときに創造し、人を動かします。
CSVやSDGsといった社会課題を企業やブランドが自分たちの価値をもとに解決するアイデアを考え、実践していくことが求められる今、最も頼れるパートナーとして存在したいと考えています。

info@fact.tokyo.jp
https://fact.tokyo.jp

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