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行動につなげる。未来につながっていく。
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OB訪問に来てくれた大学生に聞かれて、ウっと詰まった質問。
「マーケティングとはなんですか?」
あなたなら、何と答えますか?(この記事を読む方は、大なり小なり、マーケティングに関わる人と想像しつつ)
たとえばコトラーは”ニーズに応えて利益を上げること”だといい、ドラッカーは” 販売を不必要にすること”だといいました。各国のマーケティング協会でも、定義は異なるし、何なら数年ごとに更新されています。ありふれた言葉でありながら、時代によって・国によって、つまりは人々の生活や企業の環境によって、定義も役割も移り変わるもの。それがマーケティングであり、わたしたちマーケターの生業でもあります。
さて、コロナによって人々の生活も企業の環境も、たった数ヶ月の間に大きく変わりました。当然、マーケティングの在り方・やり方も、変わらなければなりません。
ポストコロナ時代もマーケターとして生きていくために、コロナによって生じた変化をキャッチアップしながら、それらの変化のWhyを想像することで”マーケターとしての視力”を鍛え続ける。その一助となるような記事を書いていきたいと思います。
5月のなか頃、株式会社インテージのレポートにて下記のようなランキングが発表されていました。
出典: インテージ「新型肺炎 カテゴリ動向レポート⑧」*4月20~26日の推計販売金額の前年比、データソースはインテージSRI。*画像は元データをもとに筆者作成
たとえばこのランキング=人々の購買行動の変化をもとに、どうマーケターの視力を鍛えるのか、試しにやってみたいと思います。
まずコロナ時代に売れなくなった商品ランキングをみると、化粧品カテゴリーの商品が多くランクインしていることが分かります。こちら、どうしてだと思いますか?具体的に売れなくなった商品は、「口紅、頬紅、ファンデーション、おしろい、化粧下地、アイシャドー、アイライナー、香水・コロン、美容液」。美容液を除いて、全て「使用した日に会う人へ 自分を魅せるためのもの」です。ランキングが集計された4/20~4/26は緊急事態宣言発令による外出自粛期間。外出が減った=身支度が必要な機会が減ったことが、まず原因と想像できます。
では、具体的に外出はどのくらい減ったのか?
株式会社unerryが発表している「緊急事態宣言」後の外出率の変化をみると、1月と比べておおよそ6-8割ほどに減っています。
出典:unerry「人流ビッグデータ×AIで見る新型コロナウイルスの影響:緊急事態宣言(4/7)による「外出自粛」への影響調査」*画像は元データをもとに筆者作成
口紅や頬紅の売り上げ減少率からすると、外出率の低下はやや小さい。ではなんで?と更に想像を深めていくと、単純に”外出率の低下”が要因なのではなく、“誰か人と会うための外出率の低下”が要因なのかもしれません。そうすると人々は、「外出減ったな」という意識よりも、「人と会う約束をしなくなったな」という意識が強いことが想定されます。このように1回の「なぜ?」で終わらず、できる範囲でデータを探して検証し、2回・3回と「なぜ?なぜ?」と想像を深めていく。
その繰り返しによって、マーケターの視力は鍛えられると思っています。
他にもランキングからは、いくつかのFactが見つかります。・エッセンス類やプレミックスなどの菓子作り素材の売り上げが伸びている。・眠気止めや強心剤、ミニドリンクなど、元気を一時的に底上げする商品の売り上げが下がっている。
ぜひご自身でも、「なぜ?なぜ?」と想像・思考して、マーケターとしての視力を鍛えてみていただければと思います。
エクスペリエンス・デザインセンター EXプランニングユニット シニア・プランナー
長谷川 慧 統合プランナーとして、主に外資系消費財メーカーを担当。 クライアントのやりたいことを実現する人ではなく、成したいことを実現する人になるために、日々、学んだり考えたりしながら生きています。