Loading...

定点観測調査から見るStay Home生活下の購買行動変化

購買行動

1.はじめに

5/25を以って全国で緊急事態宣言が解除されました。約2ヶ月に及んだStay Home生活でしたが、生活者はこの環境においてどのような生活・消費を送り、どのようなことを感じたのでしょうか?エクスペリエンスプランニングユニットでは3月末から月次の定期調査を実施することで、Stay Home生活における購買行動と心理状況の変化を検証するプロジェクトを実施しています。

2.定量調査の概要

2-1. 第一回調査
実査日:3/18
調査対象者:全国在住の15~69歳男女

手法:Internet調査
サンプル数:1,200サンプル
調査会社:楽天インサイト

2-2. 第二回調査
実査日:4/30
調査対象者:全国在住の15~69歳男女

手法:インターネット調査
サンプル数:1,128サンプル
調査会社:楽天インサイト

 

3.視点

3-1. 3月中旬→4月末で消費者心理に変化は見られたか?(第一回・第二回調査より)

3月中旬といえばADKでもようやく在宅勤務が開始されたかという頃。一方4月末は完全にStay Home生活に入っていました。感染者数が日々増大し、著名人の死去が報じられる中で消費者の意識にも変化が見られます。
第一回調査時点(3月中旬)で消費者が不安に思っているのは「買い占め」「外出自粛」といった点がメインで、自身や家族の健康はさほどスコアが伸びていません。コロナウィルスへの罹患はまだどこか他人事で、どちらかといえばその感染防止のための行動変化への不安が大きかったようです。
ところが、第二回調査(4月末)の結果はこのときとは異なり、「自身の健康」「(特に高齢の)家族の健康」が懸念事項のトップに躍り出ます。行動変容に慣れたという点も大きいでしょうが、感染者数が増大し、知っている人が亡くなる中で「他人事ではない」という意識が生まれたものと思われます。


3-2. Stay Home
生活への順応・対応に性差は見られるか?(第二回調査より)

結論から述べると、Stay Home生活への姿勢に男女差が見られました。
最も特徴的なのは「不安に感じること」の数が女性では顕著に多いということです。女性の方が生活に良くも悪くも影響が出ている人が多いことも影響しているのかもしれません。


情報収集に関しても性差が見られます。テレビとネットニュースが主たる情報源であることには性差がありませんが、女性の方が比較的SNSや口コミでの情報収集に加えて自治体ホームページでの一次情報取得にも積極的なようです。不安を反映しての情報収集行動なのか、情報が多いからこその不安度なのか、このサイクルにハマってしまった結果「コロナ疲れ」が起きてしまう人もいるようです。

3-3. クラスター別Stay Home状況(第二回調査より)

ADKターゲットスコープ(ADKが実施する「生活者総合調査」を基に独自に作成した生活者クラスター)をベースにカスタマイズを加え、クラスター別でも状況を見てみました。




男女いずれも、これまで外に出て積極的に遊んでいた層(室内エンタメ消費層)において「暮らし向きがよくなった」という回答が見られます。おそらくこれまで外食や交際費として使われていたお金がいったん手元に残ることで暮らし向きが向上したように思えているのだと考えられます。このクラスターの人たちは比較的大企業に勤めている人も多いようなので、即座に収入が減るということも少なかったようです。
その他のクラスターは比較的堅実な見方をしており、暮らし向きについても悲観的な回答が多く見られます。もともと外に出ないインドア志向の「安定志向」「消極派」は生活自体は大きく変わっていないようですが、もともとの所得が少なめで各種自粛の影響も受けやすいのではないかと考えられます。
「充実派 / キャリア系」において特徴的だったのは、食品を買うチャネルとして「コンビニ」が少ない一方で「デリバリー」は積極的に利用しているようだという点です。暮らし向きの悪化を感じている「安定志向」「消極派」では割高になるコンビニやデリバリーの利用は見られません。「充実派 / キャリア系」は暮らし向きの変化には敏感な一方で収入が低いわけではないため、「おうち時間を充実させる食(≒気に入っている店のデリバリー)にはお金を遣ってもよい」という判断が働いたのかもしれません。

 3-4. 今後の消費行動はどう変わる?


もともと市場の大きな流れとして言われていた「メリハリ消費」が今後さらに拡大するのではないでしょうか。今後も外出の機会はこれまでと比べて大幅に抑えざるをえない環境が続くと考えられますが、それによって外出=ハレ、おうち時間=ケのメリハリがついていくものと思われます。経済への影響が今後顕在化していく中で財布のひもも固くなるでしょうから、自然と「使うところを絞る」ことが行われるのでしょう。

「今後利用したいと思うもの」を聞いたところ、「衣類という回答が多い」という点が意外でした。Stay Home生活が長引く中で、「早くお気に入りの洋服を着て外に出たい」という気持ちが強まっているのでしょうか。前述のとおり外出機会が減ることによって、ファッションに関しても「本当に着たいものだけにお金を遣う」という傾向が見られそうです。

エクスペリエンスプランニングユニット

エクスペリエンスプランニングユニット

和久井 鉱一
2001年ADK入社。生活者を突き動かす体験価値の創造を追求すべく、オンオフ統合のコミュニケーションプランニングに従事。アプリ、ゲーム・トイをはじめとするエンタメ/コンテンツ、酒類、タバコ等の嗜好品カテゴリーの対応に強み。

TOP