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アフターコロナは「REC」で攻める(前編)

ニューノーマル

New Normal、この言葉は今回のコロナ禍がきっかけで作られた言葉ではなく、リーマンショックの後にも言われていました。また様々な文脈で利用されている為、非常に曖昧な言葉です。ただ一つ言えることは「今と同じではない」ということです。本稿ではNew Normalの具体的な中身ではなく、まずはそれに向けた心構えをお伝えしたいと思います。

今回のような大きなネガティブインパクトを与える災害等が社会を変えるということは、歴史が証明しています。例えば上述のリーマンショックは、我々広告業界に大きな変革をもたらしました。ウォール街の金融エンジニアが大量にリストラされたことにより、その一部が広告業界に流れてきました。彼らは株や債券のトレードシステムをインターネット広告に持ち込み、RTBDSPSSPなどが開発されました。10年強経過した今、この記事をお読みの皆さま(広告業界に携わっている皆さま)の間では、ごく普通のことになっていると思います。また東日本大震災はSNSの発展を促しました。震災で家族や友人と連絡を取り合う姿をテレビで見た方が、それをなんとかしたいという思いでLINEを作りました。LINEはまだ10年弱ですが、SNSのみならず決済手段等にも発展し、もはや重要な生活インフラになりました。

そもそも「病気は文明を変え、社会を動かしていく。」と言われています。例えば「ペストは近代の陣痛」と言われています。多くの人々が死亡し労働力が減少した為、生産性を上げる仕組みとして西ヨーロッパで資本主義の原型が作られました。また「コレラは衛生の母」と言われています。汚れた飲み水から感染した為、それを防ぐべく上下水道の整備が進みました。10年後には「コロナは●●の■」と言われることになるのではないでしょうか。

コロナ禍が今後大きく社会を変える可能性は非常に高いと思って頂けたのではないかと思います。ただ、それはいつなのでしょうか? Microsoftのビルゲイツ氏は、「私たちはいつも、今後2年で起こる変化を過大評価し、今後10年で起こる変化を過小評価してしまう。無為に過ごしてはいけないんだ。」と言っています。私は初めてこれを聞いた時、非常に納得した記憶があります。大きな変化がたった2年で起こるはずもありませんが、なぜか我々はすぐ変わると勘違いしがちです。でも、10年後は確かに激変しています。

iPhone3Gが日本に登場したのは20087月ですが、2年後の20107月はまだまだごく一部の人々のものでした。20106月にiPhone4が登場しているため3Gを買った人は2年以内に変化したと言えますが、皆さんは3Gをお持ちでしたでしょうか?ちなみに私は持っていませんでした。そして約12年が経過した20206月現在、もはや説明不要な状態になっています。

上述のLINE2012年に登場しました。こちらももはや説明不要な状態ですが、iPhoneよりも浸透スピードは早く起こりました。生活者からすると、インフラ(=スマホ)がすでに整っており、かつ金銭的ハードルが無いことがその理由です。

今回のコロナ禍で起きる変化は、企業にとっては金銭の負担(投資)、生活者にとっては慣れ親しんだ行動様式の変化、それぞれ高いハードルがあります。従って、2年で浸透することは無いと考えています。つまり、LINEよりもiPhoneに近い浸透方法になると考えています。そこで、タイトルの「REC」という考え方が登場します。 

Recovery(現状復帰)・・・短期(欠けたオフラインをオンラインで補完)
Evolution(変化に合わせた進化)・・・中期(新しい企業と個人の繋がり方)
Creation(次世代に向けた創造)・・・長期(新しい企業と企業の繋がり方)

Recovery(現状復帰)で元の状態に戻すことが短期です。ただ、その短期の間に同時並行でその先に起こるEvolution(変化に合わせた進化)とCreation(次世代に向けた創造)を検討しないと、その企業は失われた10年を再び経験することになります。この1,2年はリーマンショックよりも大きいと言われている落ち込みの回復を行うとともに、将来に向けた仕込みを行うという非常に負荷の高い期間になります。ここが踏ん張りどころです。そして、最も面白い仕事ができる時期です。皆さん、一緒に楽しんで頑張りましょう。

では、次回は「REC」の中身(New Normalのひとつの形)について書きたいと思います。

alphabox マネージングディレクター

alphabox マネージングディレクター

藤田 岳志
ADKと日本IBMの共同ユニットalphaboxのADK代表。「DXを通じて、CXを実現する。」をミッションに、事業戦略、マーケティング戦略、エグゼキューションまで一気通貫で手掛ける。

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